13%援助交際説に関するメモ。

児童売買・児童買春及び児童ポルノに関する特別報告者マオド・ド・ブーア・ブキッキオ氏の先日の会見において、同氏が「I'm referring in particular to this phenomena of "Enjo Kosai", which is a trend amongst school girls. Some thirteen percent of the school girls in Japan are involved in that kind of activity which(以下略)」と発言した(YouTubeでは5分10秒から)ことについて、外務省が13%という数値の情報源及び根拠を開示すべきと申し入れた模様。

http://www.mofa.go.jp/mofaj/press/release/press4_002626.html

同氏が何を根拠として13%と発言したのかはわからない(http://www.ohchr.org/EN/NewsEvents/Pages/DisplayNews.aspx?NewsID=16700&LangID=Eでは「open sources」というだけで、それが何か明らかにしていない)。

ただ、「日本の女子生徒の13%が援助交際の経験がある」とする説は昔から2つのタイプでいくつか見られる。

1つ目のタイプとしては、http://www.hackwriters.com/enjokosai.htm

関係する部分は、「According to another survey taken by the Ministry of Health and Welfare in 1999, "87.3 percent of girls denied having taken part(in enjo kosai)" *2.」及び「 The Health Ministry’s survey which allows us to deduce that roughly 13% of high school girls have participated in enjo kosai is probably closer to the truth.」。

おそらく、少女の87.3%は否定した→残りの12.7%は否定しなかった=約13%は経験あり、という理屈(この理屈は論理として無理気味。ただ、他の可能性が考えにくい)。

問題は、ここで挙げられている「1999年に厚生省によって行われた調査」というのは具体的にはどの調査なのかということ。同記事は「*2 http://www.mainichi.co.jp/english/news/archive/199907/22/news02.html」と記載しているところ(これは既にリンク切れ)、https://web.archive.org/web/20040223012224/http://www.mainichi.co.jp/english/news/archive/199907/22/news02.htmlからすると1999年7月21日に発表された調査と思われ、その日には援助交際に関しても記述がある「生涯を通じた女性の健康施策に関する研究会報告書」が発表されているものの、この報告書には87.3%といった数値に関する記述は見あたらない。結局、今のところ87.3%といった数字の出所等は現時点では確認できず、毎日新聞の記事を信用するとしても、どのような調査(何人を対象としてなされた調査なのか、どのような質問だったのか、無回答がどの程度ありそれがどのように扱われたのか等々)によって出てきた数字なのかわからないので、どう扱っていいのか判断が難しい。

2つ目のタイプとしては、https://web.archive.org/web/20030402003606/http://goasia.about.com/library/weekly/blenjokosaib.htm

関係する部分は、「This from the 1998 editorial in the Tokyo Weekender: "According to a recent survey of junior high school students in their final year, 17 percent thought there is nothing wrong with enjo kosai and 13 percent replied that they felt no reluctance in practicing it." (Emphasis added.)

Another Japan-based paper had said this a few months earlier, in April of 1998: "Despite extravagant media attention on what many had perceived to be a widespread phenomenon, only 5 percent of high school girls admitted taking part in enjo-kosai--accepting money from middle-aged men for dates that sometimes include having sexual intercourse--according to a survey." (Again, emphasis added.)

The moral problem is partially one of clients outnumbering willing kogals. While even the most liberal estimates limit enjo kosai to 13 percent of school-aged girls, a Tokyo survey found that an amazing 75 percent of girls responding had been solicited by older men interested in enjo kosai.」

こっちの問題は、「the most liberal estimates limit enjo kosai to 13 percent of school-aged girls」という部分の「the most liberal estimates」というのは何なのか(=いかなるソースに記載されているものなのか)まったくわからないこと。

「17%は援助交際は悪くないと思っていて、13%が援助交際を行うことに抵抗を感じないと答えた」「女子高生の5%のみが援助交際を行ったことを認めた」「回答した女性の75%が援助交際に興味がある年上の男性に誘われたことがある」ということについては、それぞれ「This from the 1998 editorial in the Tokyo Weekender:」「Another Japan-based paper had said this a few months earlier, in April of 1998:」「a Tokyo survey found that」という形である特定のソースにこのように書かれているという体裁で記載していて、そのソースに関しても特定できるほどの記載はなされていないとはいえ特定するための手掛かり程度は一応あるのに対し、「the most liberal estimates limit enjo kosai to 13 percent of school-aged girls」の部分についてはそもそもある特定のソースにこのように書かれているという体裁ではないし仮にソースがあったとしても特定するための手掛かりすら無い。

(なお、「Another Japan-based paper (中略) in April of 1998」については、1998年3月に「『援助交際』に対する女子高校生の意識と背景要因報告書」という研究が発表されており、その13ページに記載されている結果をもとに1998年4月に書かれた新聞記事と思われる。また、http://www.atimes.com/atimes/Japan/JE10Dh01.htmlからすると少なくとも毎日新聞がそのような記事を掲載していた模様。「a Tokyo survey」については、前述のhttp://www.atimes.com/atimes/Japan/JE10Dh01.htmlからするとフライデーに掲載された調査である可能性が高い。)

文脈的には「13 percent replied that they felt no reluctance in practicing it.」という部分を根拠として「the most liberal estimates limit enjo kosai to 13 percent of school-aged girls」と書いたようにも見えるけど、「13%が"援助交際を行うことに抵抗を感じない"と答えた」という事実から「13%が援助交際を行ったことがある」という事実はとても導けない。

(なお、「recent survey of junior high school students in their final year」は、記事が引用しているTokyoWeekenderの記事(おそらくhttps://web.archive.org/web/19981202151818/http://weekender.co.jp/LatestEdition/980904/oped.html)が1998年に書かれたものであることから1998年かその少し前の調査と思われ、また、記事で用いられている文言に少し差異があること(特に「felt no reluctance in practicing it」と「felt little reluctance to engaging in sex for money」の違い)が少し気になるけれどhttp://www.tokyojournal.com/index.php/component/content/article?id=244&ItemId=504からすると日本PTA全国協議会の調査らしい。これらからすると、おそらく1997年11月18日の少し前に日本PTA全国協議会が行ったアンケート調査を指すものと思われる。このアンケート調査は日本PTA全国協議会HPには掲載されていないため内容は完全にはわからないものの、http://kokkai.ndl.go.jp/SENTAKU/sangiin/141/1170/14111181170002c.htmlで少し採り上げられており、援助交際について「あまり抵抗がない」「全く抵抗がない」と答えた生徒が合わせて18.3%いたらしい)。

そんな感じで、「the most liberal estimates limit enjo kosai to 13 percent of school-aged girls」という記載は何を根拠にしたのかまったくわからない。

ところで、2つ目のタイプに属すると考えられるものとして前述のhttp://www.atimes.com/atimes/Japan/JE10Dh01.htmlがある。

関係する部分は、「Some estimates have put the number of school-aged girls practicing enjo kosai at about 13%」。

この記事は、「the Tokyo Weekender reported, "According to a recent survey of junior high school students in their final year, 17% thought there is nothing wrong with enjo kosai and 13% replied that they felt no reluctance in practicing it."」や「the daily newspaper Mainichi reported, "Despite extravagant media attention on what many had perceived to be a widespread phenomenon, only 5% of high school girls admitted taking part in enjo kosai」 や「a Tokyo survey by Friday magazine found that an astonishing 75% of schoolgirls reported that they had been solicited by older seeking an enjo kosai relationship.」のように、前述のhttps://web.archive.org/web/20030402003606/http://goasia.about.com/library/weekly/blenjokosaib.htmよりもソースを明確にしようとする姿勢がかなり強いにもかかわらず、援助交際を行っている生徒相当の年齢の女子の割合に関する部分についてはソースをまったく示さず「Some estimates」としており、ソースが存在しないかまたはソースとしてとても使えないようなものをソースとしている疑いがかなり強い。

また、この記事の内容及び構成からすれば、この記事はhttps://web.archive.org/web/20030402003606/http://goasia.about.com/library/weekly/blenjokosaib.htmを参考にしていることはほぼ疑いなく、そして記事の構成等からすれば、元記事の「the most liberal estimates limit enjo kosai to 13 percent of school-aged girls」の部分を根拠として「Some estimates have put the number of school-aged girls practicing enjo kosai at about 13%」と書いたであろうことが強く疑われる(そういう意味で2つ目のタイプに属すると考えられる)。

以上のように、13%という数字について調べていくと、自分の乏しい調査能力では相当に信用できるソースというのは今のところ見当たらない(ソースらしきものはあるとしても現時点では少なくとも疑わしい)。なので、マオド・ド・ブーア・ブキッキオ氏が何をソースとして13%と発言したかは興味があるところ。

追記。

11日にマオド・ド・ブーア・ブキッキオ氏からOHCHRを通じて在ジュネーブ国際機関日本政府代表部宛に届けられた書簡に、13%という十分に立証されていない数値を裏付ける公的かつ最近のデータはなく、記者会見における13%という概算への言及は誤解を招くものであったとの結論に至った、このため今後この数値を使用するつもりはなく、国連人権理事会に提出する報告書でも言及しない、との説明があった模様。

http://www.mofa.go.jp/mofaj/press/release/press4_002635.html

「公的かつ最近のデータはなく」という点からは、公的なデータはあるが最近のものではないという可能性と非公的なデータしかないという可能性があるけれど、前者ならばソースを秘匿する必要性があるとは思えないので後者の可能性が高く、「13%という十分に立証されていない数値」という点からも後者の可能性をうかがわせる。
プロフィール

Author:stuvw

民放4局以下地域在住。
アニメ視聴はBSなどで。

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