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論文批判その1。

なんというか、かなりダメな論文を見てしまったので批判目的でリンク。

渡辺真由子著「子どもポルノをめぐる国際動向と人権」(以下、「渡辺論文」というときはこの論文を指します)

既に誰かがしっかりとした批判をネット上でしていればそれにリンクを張って終わりにしようかと思って少し検索してみたのですが、批判的な感想はいくつか見られたものの具体的にこの「渡辺論文」のこの部分がこういう理由でダメという批判はほとんど見当たりませんでしたので自分で書くことにします。

まぁ、私も専門家でもなんでもないただのアニメ好きな一般人のうちの1人ですのでたいしたことは書けませんが、「誰か詳しい人書いてください」とか言うだけで自分に書ける範囲のことも書かないでいるというのも違うと思いますし(ましてや「誰も批判しないから悪い」などとほざくだけの人間にはなりたくないですし)、

日本でも実在する児童を視覚的に描写したもの以外の視覚的表現物についても児童ポルノとして法的に規制しようとする動きが存在するなか(児童買春児童ポルノ法の改正法案からは削除されましたが附則2条問題についてはまだ覚えている人も多いと思います)、

こういう論文について具体的な批判をせずに放っておくのも表現規制問題の点から将来的に良くないような気もしますし(客観的事実と合致しない事実を前提とすれば妥当でない結論に至る危険性が高く、客観的事実に合致しない事実が存在する旨の記述に対してはそれは客観的事実に合致しないと指摘することが妥当な結論に至るために必要ですし、客観的事実に合致しない疑いがある場合についても客観的事実に合致しない疑いがあると指摘することが妥当でない結論を軽率に出すことを回避することに繋がります)、

特に「渡辺論文」の著者である渡辺真由子氏は、第31期東京都青少年問題協議会委員名簿(東京都HP)によれば平成29年2月21日時点で東京都青少年問題協議会の学識経験者枠での委員であったようで、

第31期東京都青少年問題協議会委員を募集(東京都HP)によれば、第31期東京都青少年問題協議会の学識経験者枠の委員の任期は平成29年2月から2年と予定されていたこと(東京都青少年問題協議会の設置根拠である東京都青少年問題協議会条例第3条本文は学識経験者枠の委員の任期は2年と規定)及び

第31期東京都青少年問題協議会第1回総会の議事録(東京都HP)に照らしても、第31期東京都青少年問題協議会の(少なくとも学識経験者枠の)委員が任命または委嘱されたのは平成29年2月21日かその少し前と思われることから、

同氏は平成30年4月30日時点でも東京都青少年問題協議会の委員であると思われ、

(追記。http://www.seisyounen-chian.metro.tokyo.jp/seisyounen/singi/seisyokyo/31ki-menu/wakamonoshienbukai9/sankou3.pdfによれば平成30年7月10日時点でも東京都青少年問題協議会の委員)

また、東京都青少年問題協議会は、その第28期東京都青少年問題協議会の「メディア社会が拡がる中での青少年の健全育成について」と題する平成22年1月14日付け答申が不健全図書の範囲を拡大する東京都青少年の健全な育成に関する条例の平成22年12月改正に繋がったという例があるのであり、

東京都青少年問題協議会の委員は、公権力の担い手である地方公共団体のうちの1つである東京都の政策決定に具体的な影響を及ぼし得る一種の公務員ないし公人と言えますので、

(本当はこんな論文を批判するのに時間を使うのではなく録画したアニメを見たり買ったラノベを読んだりしたいんですが)少しずつ「渡辺論文」に関する批判を書いていきたいと思います。

それにしてもこの「渡辺論文」、一見しただけでも、法学的な面では例えば日本では「児童の売買、児童買春及び児童ポルノに関する児童の権利に関する条約の選択議定書」と呼ばれている条約の2条(c)に関する部分は6種類ある正文(英語正文・フランス語正文・スペイン語正文・ロシア語正文・中国語正文・アラビア語正文)のすべてについて言及がない時点で根本的にダメですし(追記。論文批判その2の1)、

脚注88で言及されているアメリカの連邦法に関する部分のうちCG等に関する部分もアシュクロフト判決合衆国法典18編2252A条(c)に照らせば間違っていますし、

翻訳的な面でも誤訳ないし不適当な訳がぱっと見ただけでもいくつかありますし(例えば「渡辺論文」16頁13~21行目とその原文であるhttp://www.ecpat.org/wp-content/uploads/legacy/Thematic_Paper_ICTLAW_ENG.pdf(参考文献のところに記載されているURLは変更になった模様)の9頁15~27行目は内容が違いすぎで、引用ではなく参考にしたものだとしても誤訳と言うべきです。また、この部分ではfuellingをfullと見間違えたとしか思えません)、

論文としてどうかという面からみても間接引用の仕方が極めて問題ですし(特にサイバー犯罪条約注釈書英語版101段落を間接引用している部分。同条約の9条2bに関する解釈の妥当性にも問題がありますがそれ以前の問題)、

引用している文献の質に問題があるものもありますし(追記。論文批判その3の1

直接引用の体裁で記述されているが原典の記述と一致しない疑いがある部分もありますし(追記。論文批判その3の2)、

脚注69でフランス破毀院2007年9月12日判決にかなり強引に言及している一方でアメリカ連邦最高裁のアシュクロフト判決スウェーデン最高裁2012年6月15日判決オランダ最高裁2013年3月12日判決に言及がないなど「国際動向」というわりには記載されている情報が極めて不十分です。

(なお、「渡辺論文」16頁13~21行目はhttp://www.ecpat.org/wp-content/uploads/legacy/Thematic_Paper_ICTLAW_ENG.pdfの9頁15~27行目を参考にして書かれているわけですが、その参考文献の中にはアシュクロフト判決に関する言及があり「渡辺論文」はその前後の部分については利用しているわけですので「渡辺論文」の著者がアシュクロフト判決を知らなかったということはまったく考えられないのですが、アシュクロフト判決は「渡辺論文」ではまったく言及されていません。「渡辺論文」19頁24~27行目あたりが言及する、実在する児童を視覚的に描写したもの以外の視覚的表現物も実在の児童に性的行為を行うよう誘惑したりするために使われるおそれがあるという論理に関して、その論理だけで規制は正当化されるかということについてアシュクロフト判決やスウェーデン最高裁2012年6月15日判決は否定的に答えているわけですので論文で言及する価値は確実にありますし、むしろ言及しておかなければならないと思うのですが。)

他にもダメなところがありますのでどこから批判すべきか悩むところですが、日本も批准している条約に関する部分から少しずつ書いていこうと思います。

論文批判その2の1に続く。
プロフィール

Author:stuvw

民放4局以下地域在住。
アニメ視聴はBSなどで。

https://twitter.com/stuvw22

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